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猫と相撲と文房具(ときどき野球)。猫町フミヲの妄想の日々。


by nekomachi_fumiwo
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阪堺電車deハプニング。

雑誌の占いコーナーなどでしばしば目にする言葉の一つに「ラヴ・ハプニング」という言葉がある。
「恋愛運は好調。下旬にはラヴ・ハプニングあり」みたいな感じで使われる。
そしてそれは、金運が悪くても健康運が悪くても恋愛運がいいときはなんとなくハッピーな気持ちになる自称・永遠の恋する乙女(殿堂入り)の私が長年憧れ続けている言葉でもある。
しかし残念なことになかなかそういう素晴らしいことは起こらない。
きっとそういうことは少女マンガやテレビドラマの世界限定のものなのだろう。
こんなふうにあきらめかけていたとき、それはやってきた。

ラヴ・ハプニング@阪堺電車。

いつものように阪堺電車に乗っていると、運転士の様子がおかしい。
駅や信号で停まるたびに、運転席のあちこちをせわしなくいじったり、床に這いつくばったりしている。
何だろう。
運賃を受け取り損ねてお金をどこかに落としてしまったのだろうか。
それにしてもあわてかたが尋常ではない。
他の乗客もちらちら運転士のほうを気にしている。
いったいどうした。

しかし電車はそのまま走り続け、乗換駅である「あびこ道」駅に到着。
運転士はここで交替。
浮かぬ顔で電車を降りていく運転士Aが交替で乗り込もうとしている運転士Bに何ごとかを伝える。
運転士Bの顔色が変わる。
おまえそんなんあかんで、と運転士Bが運転士Aに言う声が聞こえる。
運転士Aも顔色を変えてどこかに走っていく。
なんだなんだ。
乗客の間に不安が広がっていく。

「みなさん、すみません。ちょっとここで降りてもらえませんか。このまま走ると止まってしまいますんで。車両を入れ替えます。すぐに代わりの電車が来ますんで」と運転士B。

え?
止まってまう?
なんやねんそれ?
がやがや言いながら電車を降りる乗客たち。
寒い中、おとなしく代わりの電車を待ちながら、乗客の一人がさっきまで乗っていた電車を指して「うわー『昭和3年製』て書いてあるわ。そりゃ古いで。ここにおる誰も生まれてへんのちゃうか」と言うと、皆笑った。
なごやかであった。

なにゆえにこれがラヴ・ハプニングなのであろうか。
これだけだとただのハプニングである。

答えはいたって簡単。
運転士Bが贔屓の運転士だったからだ。

あびこ道駅はさながら「運転士B・オン・ステージ」といったあんばい。
機械的な「アリガトウゴザイマス」だけでも十分うれしいのに、これはいったい何百回ぶんの「アリガトウゴザイマス」だろう。
運転士Bが先輩格の運転士であること、なかなかやり手らしいこともついでに分かり、ラヴ・ハプニング様様の一日となった。
by nekomachi_fumiwo | 2006-01-18 22:11 | 恋する阪堺電車