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猫と相撲と文房具(ときどき野球)。猫町フミヲの妄想の日々。


by nekomachi_fumiwo
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『ぶらんこ乗り』(いしいしんじ、新潮文庫)

すっかりアップするのが遅くなってしまったが、2月末の東京旅行の際、旅先で一気に読んでしまったのがこの本である。
朝日新聞の書評欄「中高生のためのブックサーフィン」でタイトルを見て以来気になっており、本屋を辞めるときに買ったのだ。
いしいしんじという作者の名前も字面しか知らず、なんの予備知識もなく読んだのだが、とてつもなくよかった。
あらすじにふれずに魅力を語ることはあまりにも難しく、かといって少しでもあらすじを言ってしまうと読後の圧倒的な感動を奪ってしまうおそれがある。
だから何も言わないでおこうと思う。

もし、この文章を読んでいる人の中に現役の書店員がいたら、どうかレジでこの本を売るとき、客が何か言う前に黙ってすばやくブックカバーをかけてしまうようにして下さい。
裏表紙のあらすじさえも読まない方がいいのです。
何も知らない状態で、この本の世界にするりと入り込んでしまってほしい。
そして読み終わるまでの数時間、文字どおり心を奪われてしまってほしい。

私がレジにこの本を持って行ったとき、レジの女の子が「あ、『ぶらんこ乗り』や」とものすごく愛おしそうにそのタイトルをつぶやいたことを、読み終えた瞬間に思い出した。
きっと彼女はこの本を読んでいたにちがいない。
by nekomachi_fumiwo | 2005-04-04 20:18 | 読書記録