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猫と相撲と文房具(ときどき野球)。猫町フミヲの妄想の日々。


by nekomachi_fumiwo
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原稿用紙マニア再び。

相馬屋源四郎商店の原稿用紙を使ってみた。

相馬屋は神楽坂にある原稿用紙の老舗で、文房具マニアのバイブルの一つである『デザインステーショナリー—やっぱり文具が好き!』(エイムック)に載っているのを見て知った。
記事を読むうちに大いにそそられ、昨年の九月に上京した折、店に足を運んでみたのだ。
店には売り物である原稿用紙と一緒に、その原稿用紙を用いた文豪の原稿もケースの中に展示してあり、ガラスに額をくっつけんばかりに眺めていると、店の方が気さくにケースの扉を開けて下さった。
ムックにも登場していた店主の長妻直哉さんだった。
ムックに載っていた写真以上に素敵な方だった。

原稿用紙は400字詰めがB4サイズ、200字詰めがB5サイズで、罫線の色や棚の有無で9種類のものがあった。
原稿用紙マニアとしては、どれか一つくらいは買って帰りたいが、B4サイズはいくらなんでも大きすぎる。
しかし200字詰めは使いづらい。
悩んだ末、セピア色の罫線の400字詰め原稿用紙(棚あり)を購入。
限りなく控えめな罫線の色と、私好みの横長の枡目が決め手となった。
こんな素敵な原稿用紙を使うときなんて一生ないと思ったが、それでも満足だった。

その原稿用紙を昨夜、初めて使ったのである。
月末はいろいろな雑誌に詩を投稿するため原稿を清書することが多いのだが、ある雑誌の原稿用紙の指定サイズがB4だったのだ。
普段はB5を使っているので、なんとなく「大きいサイズ=A4」と思っていたが、B4ってもっと大きいやつや。
そのときふと相馬屋の原稿用紙のことを思い出したのである。
本当は素人がこんな原稿用紙を使うこと自体恥ずかしいのかもしれないし、実際、屋号入りの原稿用紙を使うほどたいした詩ではないので一瞬ためらったが、深く考えるのはよした。
きっと原稿用紙だって、使ってもらったほうが幸せに決まってる。

はたして原稿用紙は素晴らしい書きごこちだった。
今まで書きごこちというのはペンの方に問題があるのかと思っていたが、全然違った。
気持ちよくつるつるとインクが滑り、吸収のスピードも早い。
横長の枡目いっぱいにぐいぐいと文字を書いていると、原稿を転記していることも手伝ってどんどん無心になっていった。
もともと原稿用紙の枡目に文字を書くのは好きだが、こんなに楽しくまた神聖な気持ちになったことはなかった。
この紙でB5サイズの400字詰めがあれば、せめてA4サイズの400字詰めがあれば愛用するのに、と返す返すも悔しい。

いつかこの素敵な原稿用紙に恥ずかしくない素敵な詩を書きたいものだ。
心からそう思う。
まだ90枚以上ある。
先は長い。
by nekomachi_fumiwo | 2005-02-23 12:32 | 文房具ぶんぶん倶楽部