猫と相撲と文房具(ときどき野球)。猫町フミヲの妄想の日々。


by nekomachi_fumiwo
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カテゴリ:元書店員Nの場合( 29 )

草思社、再生法を申請。

読み忘れた新聞を整理していてふと見つけた記事に思わず声がもれた。

「草思社が再生法を申請」

え?あの草思社が?
記事を丁寧に読んだが、あの草思社である。
ネットにもニュースが出ていた。

草思社が民事再生申し立て - ITmedia News

気づかなかった。

草思社といえば私が書店員だった頃、もっともぶいぶい言わせていた出版社の一つである。
メガヒット作の『声に出して読みたい日本語』は言うまでもなく、上下巻ある『銃・病原菌・鉄』もかなり売れたし(一番売れている時に在庫を切らして上司に無茶苦茶怒られた)や全3巻の『対比列伝ヒトラーとスターリン』のような値の張る専門書もよく売れた。
ジャンルは実用書から自然科学・人文科学・社会科学と幅広く、どのジャンルも草思社のロングヒット作を一つ二つはかかえていたと思う。
『エレガントな宇宙』、『親日派のための弁明』、緒方貞子の『私の仕事』、『ファストフードが世界を食いつくす』などは自分のジャンルの本じゃないのに一時期ばーっと売れたとか、問い合わせが多かったとか、ずっと面出しになっているとかなんかそんな感じで記憶に残っている。

その草思社が再生法・・・
よっぽど出版不況なんやなあ。

まあ、過去には筑摩も河出もつぶれて復活したというし、草思社もなんとか頑張ってほしい。
特別好きな出版社というわけでもなかったが、がんがんヒットを飛ばすわりに営業の人は感じがよく、一度も不快な気持ちになったことはなかった。
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by nekomachi_fumiwo | 2008-01-20 16:33 | 元書店員Nの場合

元上司に会いに行く。

仕事帰りに、元上司のいる本屋に行った。
元上司とは現役時代もそうであったように、日本史の話ばかりをした。
吉川弘文館から出ている『戦争の日本史』というシリーズの話から始まり、岩波新書の『刀狩り』や、講談社学術文庫の『江戸城の宮廷政治』について嬉々として話し続ける元上司。
話を聞いていると、その本を読んでみたくていてもたってもいられなくなるから不思議だ。
しかし実際にその本を手にすると、夢から覚めたみたいによそよそしくて難解であることが多い。
幾度だまされて日本史の本を買ったことか。
だけど久しぶりにまただまされてみたくなった。

それにしても、本屋を辞めてもうずいぶんになる私をまだ人文書担当者扱いしてくれて、ありがたいやら申し訳ないやら。
真面目なだけで要領が悪く、あまり優秀な社員じゃなかったのに、未だに私が本屋を辞めたことを惜しいことしたみたいに言ってくださって、お世辞と分かっていても、ものすごくうれしかったです。
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by nekomachi_fumiwo | 2007-08-27 23:42 | 元書店員Nの場合

猫を殺した版元。

猫虐待の無職男を逮捕 「苦しむのが楽しかった」と供述

人生の敗北者・・・

だけど私は知っている。
ちゃんとした出版社に勤めているサラリーマンが猫を殺したことを。

書店員時代、ある版元の営業マンとお酒を飲んだときのことである。
何かの拍子に猫の話になり、私は猫の魅力の何から話そうかと言葉を探してしばらく沈黙していた。
その沈黙をどう解釈したのか、その営業マンは自分がいかに猫嫌いであるかをとうとうと語り始めた。
好みは人それぞれであるから、内心苦笑しながらもおとなしく話に耳を傾けていたのだが、話はエスカレートし、いつしか猫を殺した話になっていた。
悪ガキだった頃の話ではない。
最近の話であるようだ。
営業マンは嬉々として語っていた。
私はうまく言葉を発することができなかった。
ただ目だけがぎらぎらしていたのだと思う。
おやおや、君が猫に見えて来たよ、とその営業マンはふざけて言った。

そのとき私は、ジャンルの責任者であるという職権を濫用してその版元の本を絶対に注文しないと心に決めた。
さいわい私のジャンルとはさほど関係のない本を出版している版元だったので、大きなトラブルもなく私は書店を去ったが、今でもはっきりとその版元の名前と営業マンの太った体を思い出すことができる。

ぱっと見人生の敗北者でなくても、人間として終わってしまっている人はたくさんいる。
その営業マンがどういう家庭を持っているのか知らない。
家庭ではいいお父さんなのかもしれない。
収入だって私の何倍もあるだろう。
今ごろはさらに出世しているかもしれない。

だけど私はけっして認めないのだ。
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by nekomachi_fumiwo | 2007-01-16 23:54 | 元書店員Nの場合
網干善教氏が死去 高松塚壁画を発見

約5年間書店で人文書を担当してきた私だが、人文書の中でも特に日本史・世界史を重点的に任されていた。
私が働いていた書店では、福祉・心理・教育・日本史・世界史・哲学・宗教・国文学を人文書というジャンルでくくっていたのだが、このうち「福祉・心理・教育」と「哲学」にはそれぞれすでにベテランの担当者がついていたので、新入りの私には「日本史・世界史・宗教・国文学」を中心にやれということだったのだと思うが、私に仕事を教えてくれた当時の副店長O村氏が大の日本史好きだったので、結局一番日本史に力を入れさせられるはめになった。

となりのジャンルで働くO村氏は、ちょこちょこ日本史の棚に立ち寄っては、あの本がないこの本はどこへ行った、この本とあの本は並べておくと売れる、この本は前書きが笑える、この本はもう絶版でどこにもない宝物だから返品するな、この本の参考文献として載っているこの本は版元が倒産して入手不可だが自分は古本屋で買ってちゃっかり持っているのだ、など実に楽しそうに話すのであった。

何せ書庫として一軒家を持っている人である。
もちろんO村氏とその奥様が住むつもりで購入した家だったのだが、本を搬入したらそれだけでいっぱいになってしまったらしい(ちなみに本は段ボール箱300箱以上に及んだという)。
本といっても普通の単行本や文庫本ではない。
一冊が5000円以上するような歴史の専門書をばんばん買うのである。
歴史の新刊を注文するときはO村氏が買う分も考慮して注文するのが歴代の人文担当者のならわしになっていた。
そしてO村氏はその専門書を昼休憩のとき、何も食さず近くの喫茶店で読みふけるのであった(午前の棚入が終わった直後が一番テンションが上がっていて頭が冴えているからとのこと)。

網干善教はそんなO村氏が教えてくれた数多くの歴史学者の一人であった。
なんでもO村氏は大学時代に網干先生の講義を受けたことがあるらしい。
自分の足で歩いて研究する素晴らしい先生であったこと、いつも真っ黒に日焼けしていて前を向いているのか後ろを向いているのか分からないほどであったことなどを楽しそうに語ってくれた。

考えてみれば網野善彦も永原慶二も亡くなった。
O村氏との思い出の歴史学者が亡くなるたびに、なんともいえないさみしい気持ちになる。
O村氏には本当にお世話になった。
O村氏が他店鋪に異動になったあとも、何度も会いにいっては愚痴を聞いてもらったり、楽しい話を聞かせてもらったりした(そしていつでも不思議と最後は荘園(あるいは海賊)の話で締められた)。
私がもうだめだ、もういっぱいいっぱいだ、と思いながらも書店員を続けられたのは間違いなくO村氏のおかげである。
前の職場で出会った社員の中で、もっとも尊敬でき、かつ大好きな、そんな人だ。

O村氏は私の筆跡を気に入って採用してくれた人のうちの一人である。
この字を書く人を見てみたいと思ったと笑っていた。
偶然O村氏のいる店鋪に配属された初出勤の朝、よく来たねーと笑ってくれたことを今でもときどき思い出す。
私がこんなに早く力つきるとは思わなかったのだろう。
実に丁寧に人文書や専門書について教えてくれた。

網干先生の訃報を知って、O村氏のことを懐かしく思い出した朝。
網干善教先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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by nekomachi_fumiwo | 2006-07-30 13:43 | 元書店員Nの場合

さすが幻冬舎。

やるな幻冬舎文庫
イメージキャラクターに新庄をもってくるとは。
しかも「今まであんまり本を読まなくてよかった。その分、これからいっぱい感動できる。」のコピーの絶妙なこと。
新庄が言ったのかと思うくらいのフィット感。
どちらかといえば嫌いな幻冬舎だが、こういうところは無茶苦茶うまい。
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by nekomachi_fumiwo | 2005-05-02 01:15 | 元書店員Nの場合

寺山修司全集。

今年は寺山修司生誕70周年である。

数年前、岩波書店が寺山修司の全集を出すとかなんとかいっていたが、その後とんとその話を聞かなくなった。
あまり岩波にゆかりのある人には思えなかったので、(なんで岩波なんだ)と思った覚えがあるが、立ち消えになったのなら幸いである。
なんとなく岩波からは出してほしくない(中途半端なものになりそうだし、その割に高くなりそうだ)。
そもそもものすごくいいものでない限りどこからも全集なんて出してほしくはないが、装丁に凝った非常に寺山的な全集が出たとして、それはいったいいくらくらいの値段になるのかを考えると気が遠くなるのを感じる。

それにしても、生誕70周年とは。
70歳の寺山修司をどうしても想像することができない。

私が一番好きな寺山修司の歌。

死ぬならば真夏の波止場あおむけにわが血怒濤となりゆく空に(『血と麦』より)
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by nekomachi_fumiwo | 2005-04-30 14:03 | 元書店員Nの場合

齋藤孝にガツンと一発。

書店員時代、担当ジャンルの本ではなかったが、ひそかに注目していた本があった。
齋藤孝のガツンと一発シリーズ(PHP研究所)である。
子ども版の自己啓発本といったところだろう。
子どものうちからこんな本を読んで啓発されていていいのか・・・とツッコミつつも、なかなかおもしろそうなタイトルが多く(『受験なんてヘッチャラだ』『そんな友だちなら、いなくたっていいじゃないか!』等)、帯の文句も具体的でいきおいがあり、おもしろいなあと思っていたのだ。

しかし。
最新刊を新聞広告で見てたまげた。

齋藤孝のガツンと一発シリーズ第11巻 「好きです。」コクるかコクらないか、それが問題だ!

コラ。

齋藤孝といえば『声に出して読みたい日本語』(草思社)他多数の書籍の中で、子どもの間から「名文」と呼ばれる文章を音読することが子どもの教育に良い影響を与える云々と熱く語っておられたお方である。

「コクる」とか言うな(内容は気になるところだが)。
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by nekomachi_fumiwo | 2005-04-24 13:21 | 元書店員Nの場合
昨日採用された会社で仕事の引き継ぎがあった。
4時間ほどで大量のことを頭につめこむ。
ううむ、事務の仕事というのはこういうことをするのか、と新鮮な気持ちで聞く。
昔勉強した心理学の知識とか、本屋で得た知識とかが薄くではあるが役に立ちそうな仕事である。
だからすぐに採用されたのか。
覚えることはたくさんあるが、じゃんじゃん電話が鳴るわけでもないし、その電話を取らなかったからといって怒号が飛び交う雰囲気でもない。
一人一人に引き出し付きのちゃんとした机があてがわれ、きれいな最新式のパソコンがあり、あらゆる書類がきれいにファイルされ、基本的に座っていてもいい。
なんて素晴らしい環境だろう。
ファイル一つとっても本屋のぼろぼろなそれが思い出され、泣けて来るのであった。
それにしても事務職というのは文房具マニアにとってはたまらない環境である。
クリアファイルやクリップやボールペンにいちいちこっそりときめいていた。
おいおいじっくり観察することにしよう。
めざとい私は会社のロゴ入りのクリアファイルが山のように積まれているのを見逃さなかった。
いきなり首になっても、あのクリアファイルだけはもらって帰ろう。
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by nekomachi_fumiwo | 2005-03-31 01:52 | 元書店員Nの場合
採用されてしまった。
面接に行ったらその場ですぐ。
早っ!

明日、引き継ぎと歓送迎会があるらしい。
就職活動5日目にしてこの快挙。

就職といってもあくまでも臨時の職員なのでほとんどアルバイトみたいなものだが、保険の心配をしなくてもよくなったのがうれしい。
定期も作ってもらえるし。
夢のチン電通勤。

帰り際に会社の周りを探検してみた。
場所はいわゆるオフィス街。
大きなディスカウントの文房具ショップを3軒も見つけてしまった。
アドレナリン大放出。
クリアファイルが、uniのシグノが楽ノックが、ZEBRAのジムノックが、ぺんてるのハイブリッドが、そして原稿用紙がわんさか!
しかも安価!

真面目に働き、つましく暮らしながら詩を書いていこうと思う。
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by nekomachi_fumiwo | 2005-03-29 17:28 | 元書店員Nの場合
先日、履歴書を送ったところに面接しに行くことになった(履歴書を無駄にしたくない一心で急きょ探し出したところ)。
面接ってどんなんだったかなあ。
本屋に就職したときの面接は、面接官3名に対して就職希望者10〜15名の集団面接だったのであまり面接という感じではなかったような。
とにかくまた二十世紀末のリクルートスーツとブラウスを着込んで、えせメイクをほどこして、寝ぐせをなでつけて行ってこようと思う。
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by nekomachi_fumiwo | 2005-03-29 07:42 | 元書店員Nの場合