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猫と相撲と文房具(ときどき野球)。猫町フミヲの妄想の日々。


by nekomachi_fumiwo
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うさむしと行く京都2。

今回の個展にうさむしと一緒に行ったのは、うさむしに待井さんの原画を見てもらいたかったからだ。
うさむしは色鉛筆で描かれた待井さんの作品も、鉛筆だけで描かれた待井さんの作品も熱心に眺めていて、特に後者に強く惹かれたようだった。
私は常々うさむしと待井さんはどこか似たところがあると思っていて、それは一つの作品に対する思い入れであったり、完璧主義なところであったり、ナイーブで負けず嫌いなところであったりするのだけれど、デッサン好きであるという点もまた大きな共通点であることが今回よく分かった。

うさむしは浪人の末にせっかく入った美大を辞めてしまったらしいが、その原因がキャンパスライフを楽しもうとする同級生の雰囲気について行けなかったというものであると聞き、それは非常にうさむしらしいと感じた。
きっとうさむしはキャンパスライフとかサークルとかそんなことじゃなくて、純粋に作品を作ったりすることにエネルギーを注ぎたかったんだろうと思う。
同じような仲間に出会えていたら大学も辞めることはなかっただろうに、そしてうさむしのものづくりに対する猛烈なエネルギーは何かに向かって解き放たれたであろうに、大学もその周りの輩もそれこそ日本の美術界もまったくの大損である。
かくいう私もキャンパスライフとかサークルとかは死あるのみ・・・と思っていて、大学では勉強しているときがいちばん幸せだったのだから、結局似たもの同士なのかもしれない。

さて、大胆不敵なわれわれは個展の主役である待井さんにうさむしのヒギアを営業するという暴挙に出た。
待井さんには以前からうさむしのことを話してあったし(詩とか芸術の話になると私はどうしてもうさむしのことを話さずにはいられない)、キーホルダーとして使用しているうさむしのヒギアを見せて自慢してあったので、うさむしを紹介したり、うさむしのヒギアを見せたりすることはそう唐突でもなかろうと勝手に判断したのである。
はたして心の広い素敵な待井さんはうさむしのヒギアを手のひらに乗せ、非常に喜んでくれた(ように思えた)。
ヒギアを前に待井さんがいろいろ言っておられたコメントは、うさむしにとっていちいち素晴らしいヒントになったのではないかと推察する。
「かわいいもの至上主義」であるらしい待井さんは小指の先ほどの大きさのカエルチャンのヒギア(置き物)を買って下さった。

そのあと、待井さんとの立ち話で、うさむしがデッサン好きであること、恐ろしいほど描き込まれた待井さんの鉛筆画に魅入られていたことなどを話すと、待井さんはあらためて手のひらのカエルチャンを見つめ、何か納得されているようであった。
そしてデッサンは写実のために行うのではなく、観察のために行うのだと生徒さんにも教えているというお話をされていた。

・・・という話を画廊を出たところでうさむしにすると、烈火のごとく怒りはじめ、私は襟首を掴まれて地面から足が浮き上がるところであった。
話に混ぜてほしかったらしいのだ。
デッサンの話とかをしたかったらしいのだ。
私はてっきりうさむしはそういう芸術論的な話は嫌いだと思い、ものすごく小さな声で待井さんと話し合っていたのであった。
そのあと食事をするところを求めて先斗町をさまよい歩いている間もずっと、うさむしは「ああ!」とか「んあー!」などといらだっているようであった。

つきあいが長いのに、まだまだ空気が読めない私である。
by nekomachi_fumiwo | 2006-11-26 23:55 | 日記