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猫と相撲と文房具(ときどき野球)。猫町フミヲの妄想の日々。


by nekomachi_fumiwo
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自分同窓会とスタンディングオベーション。

レジの正面で展開している七夕セットをぼんやりと眺めながらうつろな頭で働いた。
あの小さい短冊に書くとしたら願い事はなんだろう。

 今夜君をさらって
 虚ろなこの現実から
 どこまでも君をさらって
 いつか見たあの未来まで

いつしか頭の中を浅倉大介の「COSMIC RUNAWAY」がぐるぐると回り始める。
さらいたいのではない。
さらってほしいのだろう。
ここではない場所へ。
現実はつらく、厳しすぎる。

小さく歌を口ずさみながら、三井住友銀行とゆうちょ銀行とりそな銀行に行く。
子どものお年玉のようなお金を握りしめて、それでも誇りを捨てられない。

いよいよつらく苦しくなると、私はいつも自分同窓会を開く。
小学校高学年くらいの私と、中学生の私と、高校生の私と、大学生の私と、大学院生の私と、本屋で働いていた頃の私を呼んで、脳内でがやがややる。
今の自分が置かれた状況をその人たちに語るところを想像する。
あれやこれや言うだろう。
今の自分よりましや、とか、うわー数年後はそんなんなんや、とかあれこれ言うだろう。
だけど、最後はスタンディングオベーションなのではないかと想像する。

今の自分は単にぽこんと存在しているわけではなく、過去の自分の蓄積の先にあるものだと感じる。
勉強したり、迷走したり、病んだり、働いたりしながら、今の私にたどり着いたのだった。
それはがっかりするような未来かもしれないが、その連続性に過去の私たちは多かれ少なかれ安堵するだろう。
つまり私の生き方とはそういうものだった。

もちろん一般的な幸福を無視することはできない。
欲しいものややりたいことは常にたくさんあって、それにはお金がいる。
体は美しく健康なほうがよいし、人には好かれたほうがよい。
それでもそれらのために自分の中の大事な何かを質に入れることはどうしてもできない。
たとえその不器用さや頑固さによって何かが手のひらからこぼれ落ちることになったとしてもだ。

今私が立っている場所はどのくらいの狭さだろうか。
その地面はひび割れて沈下し始めているだろうか。

スタンディングオベーションの拍手の音は私を勇気づけもするが、過去の私を遠くへ導く責任の重みも痛感させる。
私は私のままでどこまでいけるのだろう。
by nekomachi_fumiwo | 2009-06-26 23:19 | 日記