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猫と相撲と文房具(ときどき野球)。猫町フミヲの妄想の日々。


by nekomachi_fumiwo
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夏至2009。

夏至だった。
もう何度もここに書いているが、夏至は私にとって一年で一番重要な日である。
なぜかは分からない。
私の出生ホロスコープと何か関係があるのかと思って自分のホロスコープを眺めてみるが、何かの星と意味のある角度を作るわけでもなさそうだし、よく分からない。
とにかく重要で大好きな日であることは確かだ。

そんな日は素敵に過ごしたいにきまっている。
そしてその意味で今年の夏至は完璧だった。

まず、守口の京阪百貨店まで万年筆の調整をしてもらいに行く。
ペンドクターは以前も別の万年筆でお世話になったセーラーの川口先生。
もう心の底から尊敬していて、私がセーラーびいきなのは川口先生が好きだからである。
良い万年筆と出会いさえすれば自然と筆圧も弱くなり、万年筆と仲良くできるという持論の持ち主で、私の持ち方を見ても書いた字を見ても失笑したりせず、黙々とペン先を研いでくださる。

今回川口先生には病気みたいに書きにくいトンボの万年筆と、インクを入れ替えたら急に持ち主を忘れてしまった罰当たりなラミーのサファリを診てもらった。
まずトンボが復活。
「すご!こんなに濃い色が出たのは初めてでごわす!エルバンのインク、こんな色やったんや!」
はしゃぐ猫町。
次のラミーサファリはかなり難しかったようだ。
ペン先もだが、インクも悪かったらしい。
ずいぶん前にもらったインクだったから?
純正品だからと安心していたが、やはり古いものはNGらしい。
気をつけよう。
うさむしに作ってもらったペンケースもほめてくれたし、寡黙で本物のお医者さんみたいで、本当に素敵な人だ。

さて、今日は人に会うことになっていた。
地理に疎い私は気づかなかったが、守口からうまい具合にその人のいる町に行けることが分かり、モノレールに揺られて知らない町に行く。
なにしろ今日は夏至だ。
もう目にするものすべてが素晴らしい特別感を放っていて、妄想ノートに書いても書いても追いつかない。

夏至とモノレール。
夏至と太陽の塔。
夏至と佐川急便のトラック。

夏至と組み合わせればなんでもかんでも感動的に思える。
初めて見る町並みも、その間からちょこちょこのぞく緑も、空も、山も。
幸せだった。
雨の降らない夏至なんて何年ぶりだろう。

知らない町で人と落ち合う。
たくさん話してたくさん笑った。
夏至の夕日が消えて青い闇にふんわりつつまれていくまでの短いような長いような時間を過ごした。
夏至はその重要さのあまりつい一人で過ごしたくなる傾向にあるが、一人だと間違いなく見ることのできない光景だったし、狭い世界がまた少し広がったのを感じた。
そこには成長痛のような痛みはいっさいなく、私はいつも(こんなうまい話があるわけがない)と思うのだった。

帰宅すると夜で、でもまたすぐに明けるんだと思うとうきうきした気持ちは続く。
直してもらった万年筆で白いノートに抽象的な言葉を書き散らす。

いい夏至だった。
by nekomachi_fumiwo | 2009-06-21 23:23 | 日記